※パラレル。高杉=商家の若旦那、神威=顧客
お題06「11:それこそ狂気の沙汰である」「12:海賊稼業に精を出す」お題07「このあと滅茶苦茶」の続き。


「・・・っう」
ぬるりと神威の指が中に入ってくる。
中ってナニだ。口にもしたくないような場所だ。
不本意ながら高杉は神威が持ってきた希少な骨董品欲しさに神威の要求を呑むことに相成った。
つまり神威と『九日間H旅行』に頷いた。
翌朝笑顔で神威が迎えに来た瞬間、踵を返したくなったがどうにか堪える。
てっきり第七師団の船かと思ったが一応気を遣ったのか普通のプライベートで使用するらしい小型の船だ。
護衛にと一隻巡洋艦が航行しているが、第七師団もオフなのか、いつものような雰囲気でも無く、皆想い想いの休暇を過ごすらしい。
その休暇に付き合わされているのはこちらだ。
船に入るやいなや、座席に座る間も無く神威の膝の上だ。
「こ、のっ・・・」
クソガキ。
殴ってやりたいが、へらへら笑うだけの神威には効かないだろう。
ちゅ、ちゅ、と音を立てて耳から首を唇で撫ぞられれば駄目だ。
相手はあの宇宙最強と云われる種族の虎児である。噛み切られては叶わない。
止む無く首元を差し出すような形になって舌打ちしたくなるが、それに気を良くした神威が舌を這わせて舐めてくるとぞくぞくと快感が身体に奔る。
身体はそういった刺激に正直なのだから堪らない。
己が居た堪れなくなって目を逸らしたいが、個室とはいえ移動しているこの船の中で誰が入ってくるのかもわからない状態に高杉は戦慄した。
「ここじゃ、やめろ・・・っ」
はあ、と息を洩らしながらどうにか懇願してみるが神威が頷かない。
「恥ずかしい?誰も入って来ないよ、俺そういう命令したし」
横暴な団長サマだよ。全く。そう愚痴の一つも零したいが、神威の指がぐぐ、と中を抉ってそれも出来なくなった。
「・・・っ!」
びくん、と腰が揺れる。
下肢から鈍痛と痺れるような感覚が広がる。
痛みだけならよかったがそれだけの感覚ではないと身体は知っている。
何せ神威はあの晩初めて寝た時も散々高杉を追い詰めたのだ。これでは済まないと身体が覚えていた。
( 慣れてやがる・・・っ )
餓鬼の癖に場馴れしているというか、男は高杉が初めてだと云っていたが、ということは女馴れしているのか、とにかく神威の手管は高杉を確実に追い詰めた。たかが十八やそこらの餓鬼の筈だ。けれども手際の良い神威の遣り方に高杉は翻弄される。
「とりあえず一回」
「う、あっ」
ぐ、と挿入されたものが何なのかなんて考えたくも無い。
神威のものだ。
既にガチガチになったそれを突っ込まれて、それだけで頭が真っ白になるというのに神威は下から突き上げてくる。
容赦の無い突き上げだ。こちらのことなんかお構いなしに腰を突き上げるそれ。
「っ・・・ッ」
痛みだけのそれに快楽が混じる。
神威が空いた手で高杉のものに触れた。指で擦られれば痛みで萎えたそれが固さを取り戻す。
男の身体なんて正直なもので、これが女でなくてもちゃんとそうなる。勃たなくなるほど廃れてはいない。神威ほど若くは無いとはいえ高杉も未だ二十代なのだ。
追い上げるように動く神威の指に、少しきつめに擦られて、下からの突き上げのリズムに翻弄されるように高杉が達した。
「さいっこう・・・!」
きゅう、ときつく締め付けたのがヨかったのか神威が息を洩らす。
こっちはそれどころでは無い。最高とか云う前にこの餓鬼を張り倒したい。
張り倒したいがどうにもできず無様に神威にしがみ付いて、それから神威が達した。
「はっ、あ・・・」
熱い。どこもかしこも熱い。
吐息も何も、あつくて痺れてるのに神威はまた高杉を揺らす。
「待てって・・・」
「だって勿体無いし、まだ着かないからいいよネ」
「ちょっ・・・うあっ・・・!」
達したばかりなのだから身体が追いつかない。追いつかないのに神威は追い詰める。
どろどろになりそうな感覚。
達したのにまだ達しきっていないような感じ。
痛みの中に、じんと甘く痺れるようなそれがずっと続く無限のループ。
それに追い上げられてまた啼く。
わけがわからないほどの熱量に、それこそどろどろになるまで、神威の攻めは続いた。
「あっ、う、アッ・・・!」



気付けば知らない場所だ。
衣服は無い。高杉の記憶では移動中の船では殆ど脱がされていた気がするが、どうやって此処に来たのか考えると気を失いそうなので自重する。
「・・・何処だ・・・」
「あ、起きた?」
身体を起こそうにも下肢は重く、動けば、じゅくと何かが漏れそうになるので後始末はしていないことが確定である。
うんざりしながらも諸悪の根源を見上げれば神威は上機嫌で色取り取りのフルーツが乗った盆を高杉の前に差し出した。
「水要る?」
水が入ったグラスまで差し出してくるのだから至れり尽くせりだ。
どうにか身体を起こせば其処は近頃話題になっていたスパを兼ねたリゾート地であると知れた。
「此処・・・」
「そう、俺達師団で丸ごと借り上げたんだ」
「全部をか?」
確か、高級が売りの惑星型リゾートの筈だ。
つまり神威はこの小惑星ごと借り上げたのか。
安全を考えればそうすべきだろうが、かかる金の計算をすると眩暈がする額だろう。
さらっと何でもない事のように神威は云うのだから、全く近頃の餓鬼はマセていやがると高杉は思う。
ヴィラ風の部屋は屋外のテラスにもスパあるらしい。まるで王侯貴族にでも成ったような贅沢な部屋である。
そこで遊ぶでも無く只管籠ってヤりまくろうというのだからその神経がしれないが。
「まあ、別になんでもないよ、何かしたいことある?」
「そら、来たからには見物も・・・っておい・・・!」
意見は訊くものの神威は既に高杉の股倉に顔を近付けていて、制止する前に神威の口の中に先程まで散々弄られていた高杉のイチモツが咥えられる。
「ちょっ・・・!」
神威からすれば高杉は無防備である。
地球と云う辺境の星出身の、商いではそれなりに名の知れた高杉屋の跡取りである男は神威の興味を大いにそそった。
強いて云うならその憂いのある美貌や目つき、頭の回転の良さが良い。基本的にあまり頭を使うことが少ない夜兎であるが、高杉のような頭の良い人間というのは己には持ちえないものなのでそういった意味での興味もあった。
それに高杉は如何にも良家のお坊ちゃんと云った態の癖に、口が少し悪いのもまた好ましい。
年上の、男だ。脆弱な肉体しか持たない神威が少し力を加えれば簡単に死んで仕舞う種。
腹心の阿伏兎にはうんざりするほど顔を顰められたが、それに惚れたのだから仕方が無い。
高杉が女でないのが残念だ。種付けはできない。疑似的にでも種付けしたいのでセックスに持ち込んだが、矢張り高杉はヨかった。
突けば洩れる低い聲、堪えるようなその感じ、その癖イイところを突けば感じ入る様が気に入っている。
高杉は己の魅力に気づかなさ過ぎなのだ。
だからこそ神威は他に己の見つけた宝が奪われるのを警戒して高杉屋のコロニーに己の部下と駆逐艦を一隻護衛として張らせている。
宇宙海賊なんぞという商売が成り立つ世だ。物騒なのだからこのぐらいは当然である。いざとなれば高杉だけでも無傷で守れればそれで良い。高杉の手前コロニーの護衛と云っているが、部下にも第一の優先事項は高杉だときつく命じてある。
最も第七師団の護衛が付いた船団なんて高杉屋くらいのものだから報復を恐れて誰も手出しはできないのが現実だ。
その高杉とこうして肉体関係にまで持ち込めたのだ、逃がすものか。
神威が高杉の曝け出されたものを口に含んで舐めれば、息を詰めたような焦った聲が高杉から漏れる。
「・・・っぅ」
それに気を良くして萎えたそれを裏筋から先端まで舐める。指でやわやわと他の部分も刺激すれば高杉の腰が慄えた。
普段ならこんなこと冗談じゃない。そもそも男のイチモツを舐めるなんてそんなこと要求する相手がいたら神威はそいつを殺すだろう。女にだって奉仕されることはあっても奉仕するなんてしたくも無い。女というより神威にとってそれはただの雌だ。本能的に種付けする雌、それだけ。そういう生理現象があって発散すればそれなりに気持ち良いからスル。それだけ。
けれども高杉は特別だ。
絶対に普段ならこの夜兎の第七師団団長である神威がこんな行為、相手に奉仕する行為など絶対しないが、高杉は別。
高杉はこの関係を逸早く清算したいということを神威は見抜いている。
だからこそ畳みかける。こうして長期的に高杉とヤリ目的の旅行に持ち込んで、そうしてこの行為が気持ち良いと高杉の身体に覚えさせる。そうすればきっとこの男は拒まない。致命的な何かが起こらない限り神威を拒むことは無いだろう。
力で高杉を奪うのは簡単だ。神威とてその方が楽なのもよくわかっている。拉致して犯して、面倒なら薬で操作でも洗脳でもすればいつでもヤれる。そういう風に戦利品として略奪した者を売りさばくのは春雨では常套手段だ。勿論実戦専門の部隊である第七師団では殺すことしかしないので、そういったことをするのは別の師団や小物だったが・・・けれども神威はそれをしたいわけではない。高杉と己との関係を考えた時に、この男を殺したいのでも無い、まして支配したいのでも無いとわかった。この男に初めて遭ってからずっと考えた。観察して、どうすべきなのかを神威は考えた。
そして出した答えがこれだ。
高杉の在るがままを神威は愛でると決めた。
それがいい。高杉の矜持を折ることが神威の本意では無い。
奔放で頭の良い男、出来の良い脆弱な人間・・・神威とは違う種。
その在り様を神威はまた好んでもいる。
強いて云うのなら、船で買い付けに行くたびに神威に嫌な顔をしながらもなんだかんだで世話を焼いてくれるこの男がいいのだ。
だからそのままの高杉を手にすると決めた。
故に快楽だ。
これは狩である。夜兎は本能的に獲物を狩る時、その相手が手強いほど距離を取り、そして相手を測る。
どうすればこの獲物を狩れるか。どの瞬間、隙を見せるのかを測る。それにこれはいつもの殺す為の狩ではないから難しい。
だからこそ落とし甲斐があった。

( 俺のものにする )

「・・・っ、いい加減に・・・っ」
「もうちょっと、あとで好きなところ連れて行ってあげるから」
「はっ、あっ」
ちゅく、と吸えば高杉は堪らないと云わんばかりに揺れる。
あの高杉が脚を慄わせ、背中を反らして、熱い吐息を洩らす。
それが楽しくて、先端を舌先で抉るように吸ったり甘く食んだりして、高杉を追い詰める。
神威は高杉を快楽責めにするつもりだ。
そうして、いつかこの男がなんだかんだ云いながらも己を好いてくれればいい。
そんな期待をしながらも、神威は高杉を高めるために行為に没頭した。

不機嫌ながらも、受け入れてくれるその人に笑みを浮かべながら。
( これはまるで俺が溺れているようだ・・・ )
狩るつもりが、或いはひょっとして己が狩られているのか、ぞくぞくとする快感に身を浸しながら。


10:溺れていく

お題「若旦那続き」

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