直哉がミツルを犯す。それを考えただけでミツルの身体はぞわりと鳥肌を立てた。
( どうしよう、やばい、もう、)ミツルがベッドの端まで逃げる。
けれども直哉はミツルを逃す気はなかった。
ミツルの身体を自分の物にすると決めた。直哉が決めた以上もうミツルにはどうしようも出来ない。
直哉の端正な顔がミツルに迫ってきて、あとはなし崩しだった。
―キスをしている。
直哉と。
奪うように激しい直哉のそれは情熱的と云えなくもなかったが、どちらかというと肉食の獣が獲物を租借する感じだ。激しく舌を絡められ全身を直哉に食べられているような感覚に
ミツルは呑まれた。
「はっ・・・ちょ、直哉、」
ミツルが抵抗しようと手を動かすが途端に右肩から腕にかけてビリっとした痛みが奔る。
思わず呻くが直哉は一瞬目を細めただけでミツルの首を舐めながら服に手をかけた。
弟が痛みに慄えているというのに直哉はおかまいなしにミツルの衣服を剥ぐ。
「やだって・・・」
変わるのが怖い。直哉に触れられてミツルは平静でいられる自信が無い。
それこそ星の数とはいわないまでも、それなりの人と関係を持った。
けれどもミツルは直ぐに快楽をコントロールする術を覚えた。
だから相手を喜ばせることも出来たし、射精のタイミングも操作できた。
快楽は好きだったがこんな風に奪われるような感覚をミツルは知らない。
「抵抗はしていいぞ、ミツル、どうせ俺は最後までする」
直哉の言葉にミツルはぞくぞくする。直哉の赤い激しい眼に見られるともう駄目だ。
あんなに求めまいとしていたのにミツルの心が折れそうになる。
「駄目だって、俺、本命とは寝ないんだ」
「本命が俺ということか、有難いが、その主張は撤回してもらう」
直哉の目が細められる。意地悪な視線だ。ミツルは直哉の無遠慮な視線に晒されながらもどうにかまだ逃げる方法が無いか考えた。
しかし今回ばかりは分が悪い。直哉に退く気が無い以上、ミツルにはどうしようも出来無い。
それに抵抗しきる自信がミツルには無かった。直哉の手に指に触れられる度にミツルの身体にびりびりとした刺激が奔る。肌に触れられるだけでこんなに感じるなんて有り得ない。
好きな人間とするとはこういうことなのかともミツルは思い知る。
だって気持ち良い、全部捨ててもいいくらい気持ち良い、正直たまらない。
直哉とあの直哉と最後までやったらどうなるのか想像すると怖い。
想像すらしたことが無い快楽だ。直哉によって酷い快楽がミツルを襲う。
「うあっ・・・待っ・・・!」
直哉はミツルの抵抗を上手く抑えて簡単に捩じ伏せた。
流石に創世の時代から生きているだけあって人体を知り尽くしている直哉の手は人の急所を心得ている。
一瞬魔王の力を使ってミツルは抵抗を考えた。しかしそれでは直哉を殺して仕舞う。
ミツルはまだ上手く力が使えないのだ。
直哉はそれもお見通しだった。ミツルの考えを見透かしたように哂う。
「俺を殺してみるか?そしたら楽になるかもしれんぞ」
( 意地悪・・・ )直哉はミツルが出来ないと知ってこうやって煽る。
ミツルも今まで散々セックスさせないくせに直哉を煽ったのだからおあいこだったが直哉は意地が悪くなるとスイッチが入るのかとことんまで悪くなる。
「あっ・・・」
ついにミツルの最後の砦だったシャツも取り払われ、あらわになった胸の突起を直哉の指で潰されて思わずミツルは悲鳴をあげた。びりり、とした感覚が強くなる。胸なんて普段そんなに感じないのに、何故だか直哉に触れられていると思うと何処もかしこも火が点いたようにミツルの身体が熱くなった。
初めての感覚に流される。ミツルはだからその時、直哉がどう思っていたのかなど考える余裕は無い。
直哉にしてみれば少し触れただけだというのにミツルのこの乱れように当てられていた。
普段ミツルが他の女や男とする時にもこんな痴態を見せたかと思うと苛立ちすら募る。
( もう二度と触らせない )
これは俺の物だ。直哉だけのものだ。ミツルは直哉のただ一人の弟なのだから当然である。
歪んだブラザーコンプレックスであったが、直哉にとってそれが全てであった。
「いいのか?こんなにして、いやらしいなミツル、一体俺で何回抜いたんだ?」
自分を想って自慰をするミツル、自分を想って誰かと寝るミツル、どれもこれも直哉にとって憎らしくまた愛しい。ぐりぐりと直哉の指でその平らな胸を責めたてればミツルは、噫、と微かな悲鳴を洩らした。感じている癖にミツルは油断出来ない。
言葉で責める直哉を挑発するようにミツルは哂って魅せた。
「直哉こそ、今まで俺で何回抜いたの?」
ミツルが放った言葉を聴いて直哉は哂った。直哉の挑戦的な笑みが深くなる。
ミツルにしてみれば云い返したつもりだろうが、今のミツルの言葉で直哉に火が点いた。
いきなりミツルの中に昂った直哉自身を入れて憤りのままにさっさと自分の物にしようかと思っていたが気が変わった。思えば二年も待ったのだ。
散々ミツルには精神的にも肉体的にも焦らされたのだからそれが少し遅くなったとしても直哉にとってもう同じだ。
―だから決めた。
「何回抜いたか、お前はこれから思い知るさ」
直哉は徹底的にミツルを焦らすことにしたのだ。


「アッ、アアッ、やっ、、も、もう、アッ!」
びくびくとミツルの身体が跳ねる。全くいやらしい身体だ。直哉はミツル自身には一切触れることなくその均整のとれたバランスの良い肉体を徹底的に探った。ミツルの感じるところを一つ足りとも逃さないように、じっくりとミツルの身体を指と舌で撫ぞる。
ミツルにしてみればこれはもう地獄だ。あの欲しくてたまらない直哉に触れられているというのに一向に直哉はミツル自身に触れなければ挿入もしてこない。これでは生殺しもいいところだった。
けれども直哉はミツルの内心をわかっていながらも平然とその欲求を無視してミツルの身体を舐める。
直哉もミツルも既に勃起しているのに、これではどちらが焦らされているのかわからない。
けれども直哉はミツルが一番嫌がる角度でミツルの身体を責めた。
舐めつくすようにじっくりと、ゆっくりと、直哉のいやらしい舌と指がミツルの身体を滑る度にミツルは悲鳴をあげた。
「足の指がイイなんてお前は変わっているな」
首の裏、耳、脇の下、身体の柔らかい部分、急所を撫ぞる様にミツルの全身を直哉が舐めていくうちにミツルが一番悲鳴をあげる箇所がわかった。
足の指だ。足裏から指にかけてを舐めるとミツルはたまらないのかあられもない嬌声と云ってもいい
悲鳴をあげた。
「やだッ・・・アッ、もっゆるし・・・ッ」
直哉が舐める度にミツルの身体が跳ねる。成程ミツルは足の指が一番感じるのだ。
恐らく普段そんなところを舐められた経験が無いのだろう。ミツル自身困惑して何故こうなっているのかわからないようだった。
「こんなところがイイなんていやらしいな、お前は、自分が今どうなっているのかわかってるのか?」
意地悪く直哉が尋ねるとミツルはもうやめてくれと云わんばかりに顔を覆った。
「ちが・・・普段こんなの・・・うそだって、アッ・・・!」
「嘘なものか、お前がどうなってるか云ってやろうか?触ってもいないのに勃たせて、こんなに沢山汁を漏らして、はしたない」
直哉の言葉による責めがミツルの羞恥をいっそう煽って、ミツルは身悶えた。
事実直哉に触れられてもいないのに、ミツルの中心は張り詰めて、あろうことか我慢汁がしとどにミツルを汚している。つう、と尻の方まで垂れている其処を直哉の指で撫ぞられればミツルは快楽にぶるぶると慄えた。
「いや、も、、ゆるし・・・直哉ッ」
直哉はミツルの要求を聞き入れない。ミツルを苛めぬくと決めた。ミツルの主張する一番触れて欲しい個所から指を離して、まるで支配者に傅くように直哉は恭しくミツルの足の指に触れた。
舌でミツルの整った足指を一本一本弄り、快感に慄えるミツルの足指を口に含んだ。
そして親指から始めて順に小指までゆっくり舐める。右足を終えて直哉が逃げるミツルの左足を捕らえ顔前まで引き寄せて今度は左足を責める。少しの期待と恐怖がごたまぜになるような間をミツルに用意してやって、一瞬ミツルを眺めればミツルはもう陥落寸前だった。
ゆっくり丁寧に直哉がこの愛しくも憎くもある弟の身体をじっくりと嬲るように隅々まで愛撫すればついにミツルが折れた。
「アッ・・・アアッ・・・!イッあッ・・・!」
びくびくと激しい痙攣を起こしミツルが到達した。羞恥と驚きと入り混じったミツルの顔がたまらない。
直哉が触れても無いのに、ミツルは直哉に足の指を舐められただけでイった。
その事実に直哉はミツルが折れたのだと知る。こうなればもうあとは自分の物だ。
「触れられても無いのに、イったな、ミツル」
悪い子だ、と震えるミツルの耳に直哉が低く囁けばイったばかりのミツルの身体が快楽に慄える。
恐怖と期待、快感に戸惑う様が激しく直哉を煽る。
「アッ・・・あッ・・・」
ミツルは過ぎた快楽に涙さえ零している。それが愛しくて直哉は舌でその涙を掬った。
( 俺の物だ )
ミツルは直哉の物だ。ずっとそうだ。生まれた瞬間から決まっていた。
それが偏愛だろうが狂っていようが直哉にとってはどうでもいい。
ミツルが居ればどうでもいい些細な問題だ。
「俺の物だろう?ミツル」
「うあっ・・・なおッやずるいッ・・・ッ」
指で腹の上に飛び散った先程ミツルが吐き出した精液に触れてやればミツルは嫌だと首を振った。
だってこんなのずるい、ミツルの想像と違いすぎる。ミツルは何処となく直哉が自分を乱暴に扱うのだと思っていた。意地悪は意地悪だろうがミツルの印象の直哉は意地悪で意気地無しなのだ。
なのにいざ蓋を開けてみればずるい。こんなの、ひどい、まるで自分だけが感じているようで嫌だ。自分だけが直哉を求めていやらしくなっているみたいでいやだ。恥ずかしい。
直哉が一番ミツルの嫌がる角度で責めているのはもう十分わかっている。
触れられずにイク屈辱にミツルは直哉の意地の悪さを存分に体感した。
「想像、とちがッ・・・ッ」
直哉はミツルの腹に散った精液をぬちゅぬちゅと指で弄びながらミツルの耳尻を口に食んだ。
「アアッ」それだけでミツルの快感に溺れた身体が跳ねる。
どうしよう、たまらない、また勃って仕舞う。勃って直哉にいい様に弄ばれる。
そう思うとどんどんミツルのものが固くなる。
直哉はミツルの痴態に喉を鳴らしながら昂った自身をミツルに埋めたい欲望をなんとか抑え込んだ。
「お前は俺をなんだと思ってるんだ・・・」
想像と違うと云って自分に身悶えるミツルに直哉は眉を顰めた。
恐らくカイドーと寝るあたり、ミツルは直哉がもっと乱暴なセックスをするのだろうと思っていたのだろう。
ミツルの考えなどお見通しだ。どうせ直哉もミツルとそう大差無い。ミツルの身体のどこに触れれば善がるのかを勝手に想像して、適当な相手と寝ていたのだから。
「癪だな、ミツル、どうだ?カイドーはどんな風にお前を抱いた?」
尻軽が、と言葉を付け足せばミツルの腰が揺れた。
そのいやらしい腰を押さえつけて、直哉はミツルの足を開脚させる。
「どうなんだ?」
ジーンズのチャックを降ろし、昂っている直哉の物を取り出す。それを見せつけるようにミツルの再び固くなったものに擦りつければミツルは「ああ、」と嬌声を上げた。
「俺の事を考えていたんだろう?」
ぬるぬるとミツルのそれを直哉の昂りが責める。互いに汁にまみれていてぬちゃぬちゃとミツルの身体を責め立てた。まだ入れてもいないのに、またイキそうだ。
直哉に入れられて腰を揺らされることを想像するとミツルにはたまらなかった。
「アッ・・・ずるい、直哉だって、俺の事考えてたくせに・・・ッ」
快楽で少し舌足らずなミツルの口調が可愛い。身長とその落ち着いた性格の所為かミツルを大人として扱っていたが矢張りミツルはまだ十七歳の青年だ。
「勿論考えたさ、」
指でミツルの中を探る。いくら慣れているとはいえ最近は怪我の為にご無沙汰していただろうから中々ミツルの中は直哉の指を飲み込まない。
直哉はミツルの腹に散った精液を指で掬って其処に宛てがった。穴の周りを指で優しく撫ぞってやればミツルの昂りが心許なく慄え、誘うような仕草でミツルの腰が揺れる。
無意識でやっているのだろうが、ミツルの動きは酷く煽情的で直哉を煽った。
「入れればどんな風に喘ぐか、どんな声をあげるのか、どんな風にイって、どんなにいやらしく俺を強請るのか、ずっと考えていた」
想像の内で直哉はミツルをあらゆる場所で犯し、そして服従させ、自分を強請らせた。
実際そうするのはこれが初めてだ。初めてなのに、だからこそ恐ろしく興奮した。
本当なら今すぐにでも直哉自身でミツルを責め立てたい。だが駄目だ、と直哉は自制する。
もっとだ、もっとミツルを追い詰める。そうしなければミツルは堕ちない。
ぐぐ、と直哉の指がミツルの中に入る。汚い、とミツルが悲鳴をあげるが直哉は無視した。
下準備するセックスはクリーンだがこの際どうでもいい、ミツルのものなら汚れても構わない。
指で中を弄りながら直哉が擦り付けたい衝動のままにミツルの腰を疑似的に揺らしてやるとミツルは喘いだ。
「アッ・・・うあッ・・・!」
前立腺にはまだ触れてやらない。指を増やし直哉のものを受け入れても辛く無いようにミツルの中を拡張してやる。直哉を受け入れる為に今自分の手でミツルの身体を開いているのかと思うと直哉はたまらなかった。
「今拡げて、俺を入れてやる、欲しいだろう?ミツル」
俺が欲しいだろう?とミツルに囁く。ぐりぐりと指で抉ればミツルはまた跳ねた。
跳ねた瞬間堪えて張り詰めたミツル自身から汁が溢れる。いやらしい、酷くいやらしい身体だ。
「いらなっ・・・アッ」
可愛く無いことを云うミツルに焦れて直哉は勃ちあがっているミツル自身を口に含んだ。
舌でミツルの昂りを舐め、咥内で吸ってやるとミツルが悶える。
「アッいっ・・・アアッ!」
もう言葉にならない快感がミツルを襲う。直哉に舐められているのだ。
ミツルだって経験が無いわけではない、舐められたこともあれば自分で舐めたこともある。
なのに駄目だ。直哉はミツルのものを咥内に含んだまま舌を器用に動かしてそれからミツルの中を弄る指の責め手も休まない。直哉の舌は器用にミツルの玉の部分も的確に責めた。
ぐにゅぐにゅとそれを口に食まれ、中を指で突かれればもう駄目だ。
「駄目、だめだって・・・ああっ」
また出る。有り得ない。こんなの、だって凄く気持ちいい。ミツルは息さえ飲み込めないほどの快感に全身が飲まれていくように感じた。
駄目だ気持ち良い、流される。全部が直哉で埋められる。頭が真っ白になる。
「なおやッ、なお、やッ!」
しかし真っ白になる寸前で直哉の指と舌が止まる。
なんで、とミツルが問う前に中を蹂躙していた指が取り払われ、代わりに直哉の昂ったものがついにミツルの中に入ってきた。
「ひあッ・・・ああああっ!」
あまりの衝撃にぞくぞくする。ぐいぐいとミツルの中に入ってくる直哉のそれにミツルは全身に鳥肌が奔るのを感じた。駄目だ、真っ白になる。
もうわけがわからない。あられも無い悲鳴をあげてミツルは直哉を受け入れた。
いつの間にかとろとろに溶かされていたのか直哉の昂りは難なくミツルに収まった。
「っ、俺が欲しいだろ?ミツル、中を突かれて善がり狂いたいだろう?」
「んん、いっや・・・ッや、、ッ!」
いやだ、駄目だと嘘を云うミツルが直哉は愛しい。愛しいが憎らしい。
「嘘吐きめ、俺を強請ってみろ、俺だけが欲しいと、もう他の誰とも寝ないと、誓え」
決してミツルは男ウケする肉体では無い。どちらかというと男性的な肉体であり女性に好かれる為の顔と体つきだ。その点に於いてミツルは全く非の打ちどころが無いほど完成されている。芸術と云えるくらいに良く出来た肉体だ。しかし今ミツルは同性で血縁で兄とも云える直哉に貫かれ身体を揺らされている。その事実がミツルをどうしようも無く責めた。
恥ずかしい、欲しい、あんなに欲しかった直哉が自分の中に居る。ついに終わって仕舞う。
全部直哉の物になって仕舞う。とっくにミツルは直哉の物である筈なのに、なのに直哉は意地悪で、ミツルを羞恥で責めたてる。
首を振るミツルに業を煮やしたのか直哉はぐぐ、とミツルの腰を掴み結合を深くした。
そして奥深くまで腰を進め、ミツルを暴いたと思ったら今度は浅いところまで一気に引く。
「ひっあああああああッ」
直哉が狙ったのはミツルの前立腺だ。其処を刺激されればもう駄目だ。
真っ白になって全部飛んで仕舞う。ミツルは陥落した。
善がって、狂って、直哉だけを求め腰を振る。
「あっ、あああっ、欲し、っ直哉が欲しい・・・っ」
「俺にされてそんなにいいのか?いやらしい」
腰をどんどん押し進めて一層責め立てればミツルは涙と涎を垂らしながらあられも無い痴態を惜しげもなく直哉に晒した。それを目の当たりにしてもう自分が持ちそうにないと直哉は限界を感じる。ミツルは我を忘れて腰を振った。
「アッ、アアッ、やらし、ってごめんなさっ、アッ」
「俺、以外はもう必要ないな?ミツル、」
限界だ。自分の声が掠れて直哉に余裕は微塵も無い。直哉は本能のままに夢中で腰を進めては引いて限界を目指した。そしてついに直哉の張り詰めた昂りがミツルの中で暴発する。
パンパン、と皮膚が打ち合い音が立つほどミツルを責め立ててから直哉はミツルの奥に勢いよく吐精した。
「ない、いらなっ、直、哉だけっ、、ああッ!」
直哉の熱を注がれた直後ミツルは到達した。
直哉が今ミツルの中で果てた、そう思うとたまらなかった。
ぞくぞくする、ミツルは自分がMじゃないと思うのに、これではまるで自分がマゾヒストになって仕舞った様だ。ああ、もう駄目だ。直哉に変えられる。ミツルは直哉に変えられて仕舞う。
気持ち良い、どうしよう、もう駄目だ、なのにこんなにもまだ欲しい。
ミツルの身体は貪欲に直哉を求めている。
「あっ、もっと、直哉、もっと、、、!」
思わず強請って仕舞ったミツルに直哉は口端を上げた。
激しく口付けて中に入れた己を抜かないまま直哉はミツルを苛める。
苛めぬいて、何度でも云わせる。
直哉が欲しいと、直哉だけだと、直哉しかいらないと。
「いいぞ、ミツル、好きなだけくれてやる」
「ああ、アッ、!」
善がり狂わせてやる。今ミツルは直哉に屈した。もう誰の物でも無い。
直哉の物だ。その肉体を手にした喜びに直哉は慄えた。
そして弟の身体を好きなだけ貪る。それは何度も何度も絶頂を迎え、そして至上の快楽を直哉とミツルにもたらした。


10:愛に堕ちる
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