※カイドー×主人公。 誘ったのはミツルからだ。 「二階堂征志、って凄い名前」 感想のままに正直にミツルが云うとカイドーこと二階堂征志は渋面した。 「別に名前なんざどーでもいい」 此処はカイドーの根城の一つだ。ダイモンズというチームをカイドーは最近兄から継いだのだと云う。 カイドーとは少し前から付き合いがあった。ダイモンズは渋谷を根城にしていたしミツルにしてもバイト先の近くだ。目立つ風貌から互いに知らないわけも無く、またライブハウスには カイドーのチームの者も出入りする。その関係で知り合ったのだが、こうしてカイドーと寝るのはミツルは二度目だった。 「痛くねぇの?」 「慣れればそうでもない」 ミツルはシャツを脱ぎ捨て、部屋の真ん中に無造作に置かれた大き目のソファに身を寄せた。 ふうん、とカイドーは息を鳴らし、それからミツルの身体を弄る。 その弄り方が如何にもカイドーらしく少し乱暴で探るような感じだ。 乱暴にされるのもミツルは嫌いでは無い。ミツルはカイドーはノーマルであると思っているしノーマルであるなら男に遠慮はいらないだろう。そもそも優しい快楽を求めるなら他へ行く。 だからこそミツルはカイドーを誘った。カイドーのメールアドレスを知ったのはそもそも初めて寝た時だからごく最近だ。 「女とヤルより後腐れなくていいけどよ、お前そっち専門?」 「違うよ、ちゃんと女性ともするし、何人か仲良くしてる人もいる」 「仕事で?」 「プライベートで」 カイドーの手がミツルの平らな胸を弄った。直哉と違ってカイドーの手は熱い。 「カイドーさんは本命いるもんね」 だからカイドーは女性と寝るのは気が引けるのだ。だからこそミツルの誘いに乗った。 男なら女と違うからという単純な理由でミツルと寝た。 そういったカイドーの単純な行動原理がミツルは嫌いでは無い。ミツルだって同じだ。 「カイドーでいい、大抵そう呼ぶし」 「タダシさんは嫌なんでしょ」 「うっせ」 カイドーの手が下着にかかった。ジーンズを床に投げられ後はなし崩し的に身体を解される。 顔が近付いてキスをしそうな距離だったけれど一瞬悩んで結局カイドーはミツルの首筋に噛みついた。 ( キスはしないんだ ) なんだかそれがミツルにはくすぐったい。恐らくカイドーは本命には誠実なのだろう。 ミツルの勘では恐らく年上の女性だ。年下だったらカイドーはもっと違った態度を取る筈だ。 こういったミツルの勘は良く当たる。実際カイドーの本命はマリなのだからこれは正解だった。 だからそういったカイドーの仕草にミツルは好感が持てた。 多分そういう好意の意味ではカイドーは純粋にミツルの好きなタイプだ。 だからこそ互いに真剣じゃない。セックスフレンドという関係はフランクだったしミツルとしてもカイドーにしてもこの関係は簡単で単純だった。 真剣じゃないけれどお互いにある性衝動を簡潔に後腐れなく解決できる。その関係は割り切ったものであったし、逆に友達という意味でも好感が持てた。 セックスはするけれど付き合わない。でも友人のような普通の付き合いもする。 これは柚子や篤郎のような近しい相手では到底出来ないことだ。 肉欲を伴って尚且つ友情を進行できる人間は少ない。 互いの意見の一致が無いと其処には到達出来ない。少しでも未練があったり、少しでも相手に執着したらそれで終わりだからだ。 だからカイドーはミツルにとって貴重だった。この関係こそが少し先の未来、将来に大きく関わる ことになるのだが当然今のミツルにそれを知る術は無い。 「っ・・・」 カイドーの大きくて少し無骨な指がミツルのものに触れる。 触れた瞬間知った快楽がミツルの身体を巡った。人によって身体の触れ方は様々だったがカイドーのそれは優しく無く少し荒々しい。恐らくカイドーは独りで抜く時少しきつめに抜くタイプなのだ。だからミツルにも同じことをする。 ミツルは相手が要求すれば抱くことも抱かれることも出来たが、カイドーはそもそもノーマルである。 故にカイドーには抱かれる一方だ。 多分今日カイドーを誘ったのもそういった理由だからだ。 朝方のあの直哉との遣り取り、直哉は結局あの後珈琲を飲んでから少し仕事をしてその後直ぐ、寝入っているミツルのベッドに入ってきた。 ベッドが一つなのだから当然だったが互いに隣にある体温にその香りに、今日はまた誰かとしたくなるなと思った。ミツルが昼過ぎに起きて直哉がいなかったから恐らく直哉も誰かを抱きに行ったのだろう。 それを思うとミツルは無性に誰かに抱かれたくなった。直哉と寝ることを考えると抱くか抱かれるか、恐らく自分は先に抱かれる方だと思うからだ。 こればかりは幼い頃から直哉を兄としてみていた習性だった。抱いてもいいけれど多分直哉はミツルを抱きたいと思っている。だからミツルが抱かれる側にまわるんだろうな、と漠然と思った。直哉とはしない癖にそんなことを考えているのだから自分は相当馬鹿だなとミツルは一人ごちる。 乱暴に抱かれたい、そう思った時にカイドーに連絡していた。 「いっ・・・」 びり、とした痛みが身体に奔る。カイドーの指がミツルの中に入ってきた。 無遠慮な仕草でそれでも解そうと気を使ってくれているのか一応中を探るように弄られてミツルは膝が震えた。 「あっ・・・ちょ・・・カイドー痛い・・・」 「あ?痛かったか」 そりゃ悪いな、とカイドーに悪びれもなく云われてミツルは笑って仕舞う。 「痛いの好きかと思ってよ」 「好きじゃないなぁ、それ酷い誤解だよ」 誰だって痛いのは嫌だ。多分。 「俺Mじゃないよ、多分どっちかっていうとSだと思う」 「へえ」 カイドーが表情を崩した。こうなってはまるで友達の会話だが、残念ながらそんなことで十代の性欲は消えない。ミツルはカイドーが入れやすい様にローションを鞄から取り出した。 「これ使う?」 「なんで持ってきてんだよ」 やや呆れ気味に云われて、ミツルはお得意の微笑を浮かべた。 女性にも男性にもこれはウケがいい。案の定カイドーもミツルの意味深な笑みに流されてくれた。 「要ると思って、最初無くて結構キツかったし、あ、これ昨日の人に貰ったんだ」 「オトコ?オンナ?」 「オンナ」 カイドーは無造作にボトルを開け、中からローションを手にたっぷりと出してそれを本来挿入するべきでは無い場所に塗りたくった。 ぬるぬるとした感覚が再びミツルに快感を呼び戻していく。 「っあ・・・」 びくりとミツルが慄えるとカイドーは気を良くしたのか、どんどんミツルの中を抉る。 指をバラバラに動かされ、思わず腰を浮かせたところでミツルの中にあった指を引き抜かれゴムを装着したカイドー自身が無遠慮にミツルの中に入ってきた。 若さ故の性急さをもってミツルはカイドーに強引に抉られる。 「っくぅ・・・っ!」 びくびくと跳ねるミツルの身体をカイドーは強く抑え付けて力でねじ伏せた。 それが痛い筈であるのに、苦痛であるのに気持ち良くて、ミツルは先程カイドーに云ったMじゃないという言葉を否定しなければいけないかもしれないと、少し思う。 けれども思考を奪うようにカイドーはどんどん腰を進めてきて否応なしにミツルはカイドーとのセックスに集中することになった。 「うあ・・・ッ」 ミツルの良い所を探ることさえしないこれはカイドーが気持ちいいセックスだ。 けれどもそれでもミツルは興奮した。その強引さが今は心地いい。 ( ああ、やっぱりこれMなのかな )と意識の片隅でミツルは思う。 Mかどうかは実際わからないが今はそうされたかった。 意地悪で意気地無しの従兄の顔を想い浮かべながらミツルは行為に没頭する。 カイドーの熱がミツルを抉る。その熱が快楽と共に消化されるのを感じながら、 ミツルは腰を揺らした。 04:意地悪で 意気地無し |
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