「・・・っ」
ぐちゅぐちゅと己のを掻けば
久しぶりの快感に身体が慄える。
目の前のグラビアの女の子はあられもないポーズで
直刀の欲望を挑発する。
それをあんなことやこんなことをする想像をして
そして己の指で自身を擦り上げた。
久しぶりの行為に夢中になっていて
迂闊にも直刀、物音に気付かなかった。
それが直哉の帰宅を告げていたことに気付かなかったのだ。

ガチャリとドアを開けられた時にはもう遅かった。
「・・・っ」
「直刀、居るのか?帰ったぞ、」
珍しくお土産が、なんて、
なんでお前はこんな時に限ってお兄ちゃんらしい行為をするんだ。
ケーキの箱なんか下げて、ああ、もう俺死にたい。
だって俺は下着を降ろしてエロ本広げてナニを触っている最中で
なんでこんな時に帰って来て、なんでこのタイミングで
自分は致しちゃっていたのか、
「・・・」
たっぷりと三十秒は固まったと思う。
直哉は直刀を凝視したままで、(これまた珍しく、
否、初めてかもしれない、直哉をフリーズさせたのは)
直刀は居た堪れなくなって顔を逸らした。
そして小さな声で「見んなや」と呟いた。
そのままドアを閉めるなり何か云うなりしてくれればいいのに、
直哉は黙ったまま無言で下着を掃こうとしている直刀に近付いて
広げたエロ本を一瞥して床に投げた。
「・・・っ何すんねん、もう、出てってや」
兄貴にマス掻いてるとこ見られるなんてもう恥ずかしくて
死にそうだ。
年が近ければこうはならないかもしれない。
でも直哉は直刀にとって7つも年上で幼い頃からこの兄の考えは
わからなかった。思春期の少年らしい悩みなどは勿論したことも無い。
中学の三年間離れていたのもあって全くと云っていいほどそんな話すら
したことが無い。そもそも性にすら淡白そうな兄である。
だから恥ずかしくて、情けなくて、
どうしようもなくこの兄を責めてしまいそうで、
自分が厭で、泣きそうになる。
けれども直哉は直刀の思うように動いてはくれず、
そのまま下着を掃こうとしている直刀の股に手を入れた。
「ちょ・・・!!」
何すんねん、と言おうとしたが未だ熱を持つ核心に触れられて言葉にならない。
「直哉・・・っ!」
「出して無いんだろう、」
手伝ってやると何処か上擦った聲で云われて
あとはもう力任せにベッドに投げられて
長身の直哉が覆いかぶさってきた。
「ちょ、いやや、っ」
抵抗しようと思ったけれど思ったよりもずっと強い力で手を取られる。
あとは直哉の独壇場で、ぬるぬると先走りが流れる其処を
手で擦られればどうしようもなく身体が慄えた。
自分でするのと人にされるとのでは大違いだ。
初めての感覚に身体が追い付かない。
「う、あ、、、っ」
少し高い聲を上げてあっという間に達して仕舞う。
一瞬の出来事に頭がスパークして仕舞う。
違うねん、いつもはこんな早くなくて、普通で、
でもいつもこんなことしてるわけじゃなくて、
俺・・・
と言葉を紡いだところで直哉が唇を重ねてきた。
キスだ。
と思う前にもっと深く、
舌を入れられて直刀の頭はパニックに陥った。

( 俺、なんで・・・ )
一人でやってて、まあ溜まったものでも抜こうかという
軽い気持ちで、そしたら最悪なことに直哉が帰って来て、
( 見られてしもた )
放っておいてくれたらいいのに、
自分だったら7つも年下の従兄弟とはいえ弟が
そんなことをしているのを目撃したら軽い口調で
「ほどほどになー」なんていいながら笑い話にする。
でも直哉はそうしてくれなくて、手伝ってやるなんて
見当違いのことを云いだして、
そして、
( キスされてる・・・ )

「む、無理やって・・・!」
押しのけようとするけれど直哉の身体はびくともしない、
その時初めて直哉が自分より7つも年上の23歳の男なんだって実感した。
直哉はそのまま舌を絡めてきて、
歯列を割って熱い舌が歯の裏や歯茎を舐める度に
ぞくぞくと身体が震えた。
云い様の無いその感覚がこわい、
「厭や」
と微かに呟けば直哉は大丈夫だとでも云うように頭を撫でた。
身体を捩って「無理やって、こわい」と云っても
直哉の指と舌は止まらない。
いつの間にか捲りあげられたシャツに両手を取られて、
どうにもできないまま直哉は露わになった胸を触ってきた。
そんなところを触ってどうにかなるのか、女の子じゃあるまいしと
思うけれど次に来た衝撃は忘れられない。
電撃が走ったみたいにそこを触られると身体が疼く。
跳ねる身体に満足したのか直哉は舌で自分の唇を舐めた。
不覚にもそれにどきりとして仕舞う、
そして直哉は直刀の胸に唇を落とす。
あとはもう成すがままだった。

「アッ、、、ッアッ、いや、やって、、、」
「そうは云ってないようだがな」
調子づいてきたのか饒舌になってきた直哉が
直刀を弄ぶ。
嬲るような感覚に直刀はもう思考も感覚も追い付かない。
集中的に胸を弄られそれから、いつの間にかまた下の方にも
指が伸びてきて、また熱を持ってきた自身を擦られる。
それが気持ち良すぎて口ではいやや、と云う癖に
もうみっともないほどだらだらと涎が口から零れていて、
直哉はそれに目を細めながらまた深く口付けてきた。
呼吸のできない激しさに、或いは未知の快感に
踊らされるように直刀は再び勢いよく達した。
達したばかりでびくびくと慄える直刀の身体に散った
白濁を直哉は丁寧に舐め取りながら
再び舌を今度は下肢の方へ向ける。
「あっ、アア、、っ無理、あかんって、、、アッ!」
何をやりだすのかこの兄は、
直哉のいやらしい舌使いでもうぐずぐずに融けてしまいそうな
直刀にさらに追い打ちをかけるように
達したばかりの直刀自身を舌で舐められ、その更に下、
袋まで口に含まれてまた腰が揺れる。
ヨすぎてもう死にそうだった。
直哉はそれだけでは飽き足らず、直刀のとんでもないところまで
舌を這わせる。
もう何処かなんて云いたくない、云われへん。
そんな場所汚い、と云っても直哉は止めなかった。
抵抗しようとする直刀の足を掴んで無理矢理開脚させて
其処を舌と指で集中的に攻めた。
そんなところにそんなものが入るのかと云いたいが驚くことに
舌とぐちゅぐちゅに濡らされた指はあっさり入ってきた。
痛いのに浅いところで指が出入りするとそれが
直刀の意思とは無関係に快感を引きずり出す。
どのくらいそれをやっていたのか、
達しそうになって前を弄られてもいないのに
何でこんなところで指を弄られてこんなになっているのか
混乱する頭で涙さえ浮かべながら直刀はまた達して仕舞った。
勢いは無い、でもべっとりと裏筋まで濡らすような
達し方でその酷い快感に聲が嬌声へと変わる。
「ふ、ぅ、あああっ」
びくびくと身体がしなる、
そのしなる様に直哉が喉を鳴らす。
小さく何かを口走ったようだったけれど
パニックに陥っている直刀には聞き取れなかった。
それから直哉は自分のジーンズのチャックを下ろし
そしてゆっくりと入ってきた。


何かの間違い
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