外伝短編連作その後の小話たち。 ■日記の話。 記憶を失くしたということがわかってから医師の勧めで司は毎日日記をつけている。 最初の頃は戸惑いばかりだ。 けれども最近では慣れてきたのか漸く司らしい文面になってきている。 「ふむ、司の心境はこうか・・・」 「って何読んでんだよ!直哉!」 「お前の成長の記録をだな・・・」 この兄、事あるごとに司の日記をチェックしているのだ。 *** ○月○日 なんとなく過ごす。 お昼にとマリ先生がきつねうどんと ヤクルトを出してくれた。凄く美味しかった。 のんびりするのが久しぶりでそういえば世界が 変わってからあまり休みを取ってなかったと気付く。 たくさん考えることがあるけれど いまをしっかり見据えて俺に出来ることをしたい。 *** 直哉のことは一言も記載されていないが直哉は流石、と呟いた。 「行の先頭だけ読んだら『直哉の変態』・・・やるな司・・・!」 「ナオヤは今日も気持ち悪いです、まる」 せっせと日記に文面が書きだされていくが一応、兄弟の愛のメモリーである。 ■ハ○撮り 以前の司なら誘えば直ぐに応じてくれた。 しかし今の司はそうでは無い。 直哉と目の前のドラマならドラマを取る様な子になってしまった。 「え?無い無い、俺今いそがしーし」 と適当にはぐらかす様も今までに無い弟の表情であるので可愛いが、直哉とドラマで直哉を取らないのは言語道断である。 「よって教育的指導をする」 「は?てめっ!ちょ・・・!俺の楽しみにしてたドラマ・・・!」 悪魔がリアルに存在する今となってはエクソシストものも派手でいい。 なのに画面を遮って直哉が圧し掛かってくるので司は焦った。 メギドラオンを連発するが、魔MAXのこの兄にはあまり効いていない。 しまった物理属性を強化すればよかったかと司が焦っても遅かった。 「うあっ!」 あっという間に直哉に下肢のイチモツを握られ、別の意味で天国を味合わされた。 全くちゃんと構ってやらないと直ぐに直哉はこうなるから大変である。 挙句に後日わかったことだが直哉はきっちりそれを録画していた。 「・・・コレ・・・どういうこと・・・?」 「お前は忘れ易いからな、自分の記憶を何処かへ置いてきてしまうようなうっかり屋だから俺が記録しておいてやった」 どうだ感謝しろと云わんばかりに大画面で先日の房事が映し出されている。 画面の中で司が足を広げて直哉の肩に腕を回して、我慢に我慢を重ねて限界が来て達している様など誰がみたいか。 ドンっ!と司が魔法で機材ごと破壊する。 けれども直哉のドヤ顔は崩れなかった。 「惜しかったな、司、あれはコピーだ。オリジナルはリアルタイムでサーバーに送信している」 「この変態!へんたい!変態!!!!」 「天才プログラマーNAOYAを舐めるなよ」 お前はさっき画面の中で舐められてたけどな! 「ならサーバーごとぶっ潰す!」 それを聴いた直哉がしたり顔で高笑いをあげる。もうやだこの展開。 「ふははははははは!サーバーは神に一番近い場所へ転送済みだ!これはもう神魔戦争をするしかないな!司!」 「何ついでに神を殺そうとかってなってんだよ!めんどくさい!」 司が携帯を取出し何事か連絡する。 「あ、レミエルさん?かくかくしかじかで、そうメタトロンさんにお願いできるかな」 「司!お前いつから天使と!?」 「データ、俺が可哀想だから破棄してくれるって」 チッ!と直哉が盛大に舌打ちをする。 そして新しいカメラを取出し司ににじり寄ってきた。 「ならば、撮り直すまでだ!」 「なんでネバーギブアップなんだよ!あきらめろよ!」 「そういうのは創造主譲りなんでな!」 「ぎゃー!!この変態!!!」 神様、世界はなんとか平和です。 ご飯も美味しいです。 わりと生きててよかったなと思うことも多くなりました。 けれども・・・ そろそろ俺の身体が心配です。 |
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