※魔王ルートED後。


「羅刹、ちょっとこっちへ来い」
ちょいちょいと直哉が手を動かすので
羅刹は顔を顰めながらも直哉の方へと足を向けた。
いつもならてめーで来いと云いたいところだが、
つい最近直哉に色々欲しいものを調達して貰ったばかりで
些か機嫌がいい。
ちなみに調達してもらったものは公開前の映画だったり
(しかも内容は世界が悪魔に支配されて魔王を救世主が
倒すという陳腐なものだ)集めているビンテージものの
スニーカーだったり様々だ。
だから羅刹は特に何を思うでもなく
兄の元へ足を向けた。
「ナンだよ」
「いい事をしよう」
いつになく機嫌が良さそうに云う直哉を
訝しがりながら羅刹は煙草の煙を直哉に吹きかけた。
「は?だからナニ?」
けれども上機嫌らしい直哉はそんな羅刹の
腕を掴み車のキーを見せた。
「凄く痛くて気持ちイイことだ」
「お前が気持ちいいだけだろーが!」
思わずツッコんだ羅刹の気持ちはわかってほしい。

「思えばこれは試したことが無かった」
適当にチョイスした車は白のフェラーリだ。
特殊なカラーなのかパールの粉末が入っていて見た目に美しい。
廃墟となったこの山手線の内側にはそういった
ものも大量に溢れていた。
最も今となっては車など使うことも無い、
時折物資搬送用にカイドーが四駆を使っているくらいで
後は悪魔達の力で事足りた。
故に大量にゴミとして在ったそれらの一台を無差別に
チョイスして直哉は羅刹とドライブに出た。
これでやる事といえば一つである。
最近は天使軍もあまり大きな動向を見せない。
羅刹にしてみれば神との戦争など直ぐ終わると思っていたが
どうにもこれは何百年単位で時間のかかるものらしい。
「創世とはそういうものだ」と直哉は云った。
只今前線にはカイドー(カイドーは元々最前線を好む男だ)
と後方支援にマリ先生(一昨日篤郎と入れ替わったので篤郎が今は帰還している)
の軍を配置してジャア君は何やら直哉の命令で何事かを工作しているらしかった。
あとは羅刹が指示した軍が陣形を作っていて今のところ直哉の思惑通りであり、
つまるところこの優秀な頭脳を持つ世界一の兄は暇をしているらしい。
ただでさえキツいのに今週に入ってからはエロエロスイッチがオンになったのか
専らこんなプレイばかりだ。
この変態エロ惚け、色欲魔人め、と内心ツッコみながらも
付き合う自分も大概この状況を楽しんでいるのかもしれない。
勿論半強制というのもある。あまりに莫迦な提案に抵抗したものの
現在羅刹は直哉に縛られて車に転がされ、そして運転する直哉のものを
しゃぶらされているのだから。
「・・・っ」
ちゅく、と音を立てて舐めれば直哉が「いい子だ」と
愛しげに羅刹の頭を撫でた。
それがまるで子供の頃、滅多に褒めてくれなかった直哉が
極稀に褒めてくれた時を思い出して、それで嬉しくなる。
( まあしゃぶるのが上手くなって褒められても仕方ねーけど・・・ )
内心のツッコみは的確な羅刹、職業魔王まだ18歳であった。
魔王にもなって世界は思いのままだというのに、
この配下の悪魔達が跋扈する場所で車転がしてナニをしているというのか、
( これでまた篤郎にドヤされるな・・・ )
以前直哉と和解した際のうっかりヒルズの中庭で青姦、は
音速で城下や戦線にまで噂されたというから、今回もそうだろう。
半ば諦めながら手近な処で車を停めた直哉の上に羅刹は
乗りあげた。
「アッ、、、」
びりり、と身体に痛みが奔る。
ちりちりと焦がされるような感覚に身悶えながら
充分に立ち上がって硬い直哉のものを身体に沈めた。
昨日、今日も朝方までは交わっていたのだから
今更切れるということも無いが、
それでも直哉のものを埋めるのはキツい。
ぎし、とシートが揺れる。
それを気にする余裕も無く、直哉に腰を掴まれて
胸を食まれそのまま羅刹は仰け反った。
「掴めんな」
邪魔か、と後手で縛っていた羅刹のベルトを外す。
自由に成った手で殴って遣ろうかとも思うが、
それをすれば(変態)直哉が歓ぶだけなので
解放された腕は一瞬空を彷徨って、結局目の前の兄に
縋ることになった。
「アッ、、アアッ」
一層深く揺すられながら、直哉のものがずちゅずちゅと
中を行き来する。
胸から首へと直哉の舌が移動して
それだけでぞくぞくとした快感が羅刹を支配した。

もっと欲しい、
もっと抉り取って欲しい、
奪い去ってなにもかも自失するまで
この男が俺のものであればいい、


そんな愚かなことさえ願いながら
快楽の内に直哉を見れば、
直哉もそうであったのか一瞬の視線が絡んだ後に
激しい口付けがあった。
絡む、絡むあう、
舌を絡ませ唾液が零れるのも気にならないほど
深く求め、切ないくらいに視線を絡めて
「直哉、」と口付けの合間に漏らせば
珍しく直哉の方が早く達した。
達したと云うより不意に呟いた羅刹の聲に暴発したという感じだ。
「ばっか」
お前が先に逝ってどうするよ、と云えば、
直哉は若干苦笑して、
それからもう一度キス、
啄むようなキスの合間に、
徐々に深くなって、
それから
「ならばお望み通り、存分にイかせてやろう」
と囁かれ今度は反転、シートを倒して
車がぎっしぎし揺れるほど突かれて、
「ごめんなさい」と叫んで懇願するまで散々貫かれてイかされた。

後日やっぱりこれは音速で噂になり、
篤郎にドヤされることになる。
そして直哉は懲りずに車のカタログを見せて
羅刹に云った。
魔王の兄宣いく、

「やっぱりフェラーリは狭かったから今度はオープンカーでしよう」

俺は無言で直哉を殴った。


それでも好き
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