※魔王ルートED後。


ふと昔のことを思い出す。
昔と云ってもつい半年やそこら前のことであって、
それほど昔では無い。
直哉と無理矢理身体の関係を繋がれて
一年と少し、あの高校一年の途中から二年の夏までは
もう最悪だった。二年の夏までというのはもうご存知の通り
あの一週間で世界が一変して仕舞ったからで、
それからなんのかんので直哉と和解して仕舞って
今現在も怠性でも無くわりと積極的に身体を繋いでいるのは
直哉が好きだからである。
そんなことをぼんやりと考えながら
直哉の腕の中で身じろぐと直哉がどうした?と
煙草を灰皿に置いて羅刹に目線を向けてきた。

「いや、あのさ、今更ナンだけど」
「何だ」
「お前さ、ずっとラブホでヤってたじゃん」
「今更だな」
蒸し返すな、と云いたげな直哉に羅刹は
その光景を思い出しているかのようにぼんやり言葉を紡ぎ出した。

「いや、ホント今更なんだけどさ、あれ、今にして思い返すと、」
「だから何だ?」
「あん時は腹立ってたし、全然其処まで頭まわんなかったんだけどさ」
「・・・」
「お前、いつも俺とヤった後、金落としていったろ」
「そうだったか」
はぐらかすように云う直哉に羅刹はがばっと身体を起こした。
「今にして思うとおかしくね?あれ、」
「おかしいか?」
「だってお前絶対煙草と現金置いてったよな」
「忘れた」
嘘だ、直哉が忘れるものか、羅刹は憤りのままに口を開く。
「三万とか、いつもそんくらい置いてったよな、お前」
「内訳でも訊きたいのか?なら説明するがあの内、一万はお前の食費で、
残りの二万はお前を襲った時に破った衣服代だ」
「内訳云ってんじゃねぇよ」
「一万は兄からのお小遣いの方が良かったのか、」
「お小遣いっつか、俺とお前なんかアレじゃね?」
羅刹は壮絶に顔を顰めて云い放った。

「ただの援交じゃん」

援交と云われてぐさりときたのは直哉である。
勿論そう云われても仕方無いのだが、云うなればこれは強制援助交際であって、
羅刹の云う通り至極最もなのだが、直哉にしてみればあれは羅刹を繋ぐための
手段であり、断じて援助交際のような関係を目指して行ったものでは無い、
羅刹に渡した現金も家に帰らない羅刹の生活を案じてのことで、
遠周しにそれなりに心配している兄心である。
何せ夏までに死なれては元も子もないわけであるし、
とにかく決して援助交際ではなかった、(と思う)

「・・・結果的にはそう思われても仕方無いのは認めよう・・・」
不本意ながら、と直哉はバツが悪そうに煙草を吸った。
こう云われては非常に居心地が悪い。
そんな俗っぽいものとは無縁であると思っていたし馬鹿にしていたのだから、
まさか自分がその枠に当て嵌まろうとは盲点であった。
弟の的確なツッコミに珍しく直哉は地味に凹んだのだ。
「弟とエンコーってもうお前最悪だな」
珍しく悪かった、と云う直哉に気を良くして
あっはっは、と笑う羅刹に直哉は逆襲することを決意した。
煙草を灰皿へ戻し、羅刹の足首を引っ掴む。
そのまま足を引っ張り押し倒せば、簡単に羅刹の優位は崩れた。
「援助交際結構、なんなら今からでもマッカで支払おうか?」
「何処の世界に魔王と援助交際しようとするヤツがいんだよ!」
「ここに居るさ、魔王の兄がな」
直哉はうっそりと笑みを作り、その整った顔を羅刹に近付ける。
鼻先が付くほど近づけてから、勝ち誇ったように口を開いた。
「援交と云うからにはいろいろしてくれるんだろうな、
○○○○とか×××とか色々な、、、!」
「ちょ、おまっ、」
離せ、と暴れる羅刹を抱き込んで直哉はそのまま弟の足を割り開き、
申し訳程度に着られている衣服を剥ぎ取った。
一瞬にして全裸に剥かれた弟は非道な兄に叫ぶ。
しかし叫んだって無駄である。この兄は既に弟の急所を
弄っていた。
「変態!このド変態!」
「変態結構、援交の何が悪い!」
羅刹は甘い悲鳴をあげながら学習した。
この兄をからかってはいけないのだと。
開き直ったら最後、もう何処までも甘いお仕置きが待っているのだと、
身を持って知ることとなった。


援交疑惑


こうバカっぽい感じで。

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