※遊び人風の男×主人公(+ ナオ主)ですのでご注意下さい。


最悪だ、と羅刹は溜息を吐いた。
最悪だ、最悪だ、最悪だ、
「もう最悪」
今の状況が最悪以外の何だと云うのだろう。
「おや?僕は結構楽しいけどね」
目の前の男を軽く睨み、羅刹はもう一度天井を仰いだ。

( ええと、昨日の夜直哉とヤッて、んでそのまま寝込けて・・・ )
昨晩直哉に縛られたままの状態で、意識が戻ったらこれだ。
「何でお前が此処に居る」
「ナオヤ君に呼ばれたんだよ、いろいろと打ち合わせがね」
何が打ちあわせだ。
胡散臭いことこの上ない、だいたいこの男は一体何なのか
未だに羅刹は知らなかった。直哉の古い知り合いではあるらしいが、
ベルの王になった今ならこいつは相当の悪魔であるとわかる。
歌無伎町で遭った時から余命表示が無かったのもその所為なのだ。
こんな奴にこんな頼み事は正直厭だが、
一応駄目元で云ってみる。
「これ、外してくんね?」
ジャラ、と金属が擦れる音がする。
羅刹とベッドを繋ぐ鎖だ。
以前王の力で外したら禁じ手だかなんだかを使って
開呪しないと外せない仕組みにされた。
男はううーん、どうしようかなぁとまじまじと羅刹を見つめる。
「絶景だよねぇ、いやはや羨ましい限りだね、ナオヤ君」
「だから外せって!」
寄りにもよって眼が醒めて最初に
見つかったのがこの男なんて最悪だ。
篤郎なら外してくれただろうに、(以前も外して貰ったことがある)
それかせめて今此処にいない直哉でもいい、
何せこの男とこういった状況なのははっきりいって不味い気がした。
これは羅刹の直感であり、実際羅刹の動物的本能による直感は
非常に正しい。

「どうしようかな、」
ほら来た、悩むふりをして羅刹に近付く、
辛うじて直哉がタオルケットは掛けて呉れていたものの、
下は全裸であり、その上両手は禁呪の鎖で縛られている。
身動きの取れない羅刹に男はにたにたと笑みさえ浮かべて
その胡散臭い顔を羅刹に寄せた。
「これ解くのは簡単だけどね、」
「じゃあ早く解け、俺は今すぐ自由になりたい」
そしてお前から離れたい、
睨めば男は一層笑みを深くして、そして
徐に鎖を引っ張った。
「どうやったら外れるんだろうね」
ヤロウ、分かってて云ってやがる、
これは羅刹以外の者なら簡単に解ける鎖だ、
外せないわけが無い。
なのに弄ぶようにジャラジャラと鎖を揺らして男が羅刹の上に
馬乗りになる。
「ちょ、ヤバイって、」
やめろ、と云えば男は行き成りケットを剥いで
羅刹のモノを掴んだ。
「・・・っ」
昨夜散々直哉に嬲られた処がびくり慄える。
思わず腰を浮かせば昨夜吐き出された直哉のものが
どぷりと零れてシーツに染みを作った。
男がぺろりと唇を舌で舐める。
( やばい )
この眼はどうにもやばい、
やばいと思ったから羅刹はあらん限りの力で暴れた、
けれどもそれより早く男が何かの力を使って羅刹を抑える。
「このぐらいは僕にもわけないからね」
「離せ、変態」
「お兄さんと寝る方が変態じゃない?こんなイカガワシイプレイまでして」
「直哉はいーの」
直哉なら何だっていい、二人で生きていくと決めたのだからそれでいい。
「浮気したらナオヤ君怒るかな、」
「怒る、すっげー怒る、お前殺されるぞ」
「どうかな?君だって男は流石にナオヤ君以外無いようだけれど
女の子とは遊ぶデショ?」
「う、」
痛い腹を突かれた。
そうなのだ、実はこっそり、ケツの穴に入れる感じってどんなのか
知りたくて、でも男相手には直哉にでも勃つ気がしなかったから
リリムちゃんにお願いして一発やらせてもらった。
直哉にはバレて無いと思うけれどその日凄いキツいSEXされたから
やっぱりお見通しなのかもしれない。
「イヤ、でも男は流石に殺されると思う」
「まあ、確かに僕のナニぐらい潰されそうだよねぇ、彼嫉妬深いから」
考え込んだ男にここぞとばかりに畳込む、
冗談じゃない、直哉だけで十分なのに、これ以上ヤロウにヤられてたまるか。
「ホント、マジで殺られるって、やめとけ、そしてこれ外せ」
そう云うのに、男は羅刹に顔を寄せた。
「でも困ったなぁ、」
「何が?」聲が擦れる、やばいやばいやばいと本能のシグナルが鳴る。
なのに身体は何かの力で押されてて動かない、鎖さえなければ
羅刹の力で十分に男を祓えるのに、どうしても身体が動かなかった。
こういう状態で羅刹を放り出した直哉を恨みたい。
そうこう考えている間にも男は身体を一層寄せてきて、
羅刹の耳元で囁いた。
「君って凄く美味しそうなんだよね」
何せベルの王でしょ、と男は哂う。
こいつは悪魔だ、悪魔の喰うは真実喰うなのだ。
ぞくりとした恐怖が羅刹に奔る。
「喰われるなんて冗談じゃない」
「だよね、僕も今君を食べたらつまらない、それに全部食べたら屹度消化不良起しちゃう」
だからね、と男は言葉を足した。
「味見するくらいいいんじゃないかな」
そしてそのやばいことが始まったのだ。

にちゅにちゅと部屋に音が響く、
男が羅刹のものに自分のナニを擦り合わせている音だ。
擦られれば厭でも身体の熱が上がる。
先程から絶妙な手淫と男のナニが羅刹のものに
擦れる度に羅刹は呻き聲を堪えなくてはいけなかった。
「、、、っ」
ぞわぞわする。
駄目だ、やめろ、と云わなければいけない筈なのに、
そう思えば思うほど快楽の度合が上がっているようで、
相手が悪魔だからなのか、無理矢理身体中の快楽を
掴んで引き摺り出されている気分だった。
「ぅあ、アアアッ、っ」
堪え切れず羅刹が吐き出す。
白濁したものが羅刹の腹を盛大に汚した。
男は羅刹の腹に飛び散ったものを丁寧に舐める。
まるで食事のようにじっとりと舌で汚れた腹を舐め
じわじわ未だ慄える下肢へと辿り、そして其処で慄えている
濡れそぼった羅刹のものを舐めた。
「あ、、ああっ、」
びくびくと羅刹が慄える、先程出したのに
もう固くなって仕舞っている。
口に含まれると余計駄目だ。
ぬらぬらと舌で追い上げられて駄目になる。
駄目だ、と擦れる聲で云う。
動く度に直哉のものが尻から溢れるのが気持ち悪い。
「いやらしいなぁ、」
男が囁く、
駄目だ、耳を貸すな、と思っていても
身体は云い様に弄られて眼を閉じても己の醜態が浮かぶ、
耐えきれない、と思っても男の言葉は心の奥底に響いた。
「ナオヤ君じゃなくてもこんなになるんだ?」
誰でもいいんじゃない?
と云われて、その言葉にどうにか「違う」と羅刹は返した。
男はくすり、と笑い、そして羅刹の、直哉のものが溢れる
穴へと指を這わせた。
「すごいね、こんなにぐしょぐしょにされて」
ナオヤ君絶倫だねぇ、と云いながら遠慮なく中を弄る。
「あ、アアアっ、、」
びくびくと身体が跳ねる。まるで海老みたいだ。
中を指でぬるりと擦られると過剰なまでに身体が跳ねた。
「ほんと、君美味しそう、」
中を指で擦られ、固く起立したナニを更に
男のナニで擦られ、もうわけがわからない。
「はっ、はぁ、」
ぶるぶると慄える羅刹に男は囁いた。
「ねえ、挿れていい?」
ぐにぐにと指で掻き回していた中の入口に男のナニを当てられる。
ぬるぬるとした感触がたまらなくて今にも挿れられて
掻き回されて絶頂を迎えそうで怖い。
「挿れていい?」
その間も男の酷い快楽を引き出す愛撫は続いていて、
羅刹は飛びそうな意識をどうにか戻して掠れる聲で答えた。
「だめ」
「どうして?気持ち良くなりたいでしょ?」
「だめ、、っ」
「挿れたい」
「、、、駄目だっ、、って」
なんとか睨めば男は笑いながら肩を竦めた。

「駄目だってさ、断られちゃったよ」
ねぇ、ナオヤ君、と云われた言葉に羅刹は一気に現実へ引き戻された。
直哉だ。
風呂上がりらしい直哉はタオルを一枚腰に巻いたままで
煙草を加えて此方を見ている。
「や、、ちがっ」
思わず反射的に答えた。
どう見たって自分が襲われている図なのだから云い訳をする必要は
まるで無い筈なのに、まあこれは心理ってやつだ。
直哉は心得たように満足そうな笑みを浮かべて「わかっている」と
いつにない優しさで答えた。
「ガード硬いよねぇ、彼」
「当たり前だ、俺が躾たんだから」
羅刹を他所に会話は続く、
その間も男の不埒な手とナニが羅刹を弄る。
「ひ、ぁっ」
びくりと跳ねれば男は愉快そうに眼を細めた。
「彼最高だね、黄金比だよ、否、魔王だから黄金律かな」
「肉体の黄金比、精神の黄金律か」
そう、と男は楽しそうに羅刹の身体を撫ぜる。
「欲しいな」
と男が呟いた。
羅刹は男の不埒を止めることも出来ない。
直哉が止めればいいのに、直哉はフン、と鼻で哂っただけだった。
「契約するならいいぞ、特別に一度だけ赦してやる二度目は無い」
直哉の言葉に男は、ううーん、と唸った。
「おい、お前ら、何の話だよっ、、」
俺を他所に話を進めるな、つか、これ解け、と叫べば
男は羅刹に意見を求めるように、ずい、と近付いてきた。
そうすると既に穴の入口に待機していた男の臨戦状態のナニが
羅刹の中を刺激する。
「っ、ぁっ、、」
「困ったなぁ、どうしようか?そうすれば僕、君の下僕になっちゃうん
だよねぇ、それもなぁ、」
困るというわりに男は愉しそうだ。
「もう先っぽ挿れちゃってるしねぇ、羅刹君、」
ぬるぬると其処が揺らされる。
もう駄目だ、そんな風に弄られたらどうしようもなく
身体が疼いて仕舞う。
鳥肌を立たせながら羅刹が呻く。
厭だ、と云いたいのに言葉が出ない。
酷い快楽だ、悪魔の力だ。
気付けば直哉の手が羅刹の頬を優しく撫ぜた。
瞬間理解した。
こいつらグルだ!
「この変態ホモ野郎共、後で殺してやる」
共犯者共は薄く笑い羅刹の身体を弄った。
「半分入っちゃった、抜いてもいいけどさぁ、」
男の舌が羅刹の肌を這う、
羅刹の唇は直哉の唇に深く重ねられて
呼吸もままならない。
漸く離されて、それから「少し我慢しろ、お前の為になることだ」
あとで消毒してやる、なんて言葉が聴こえてきて、
それから、ム、としたような男の気配、
そしてぬるぬるとそれが身体に沈められる。

「ねえ、どうしたい?君が決めてよ」

ぞくりと鳥肌がたつ、
云ってはいけない、
いけない筈なのに、
どうしても身体の奥が疼く、
疼きが乾きが、今すぐこれをどうにかしてほしい、
その疼きが酷くなり、とうとう俺は口にした。
「欲しい」と、
強請ったのは誰にだったのだろう、
二人の男が哂い、そして俺の身体を埋め尽くす、
その得体のしれない心地良さにただ
溺れた。


黄金比率のナイトメア
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