※直哉17歳、主人公=北条 八十(やそ)10歳。


従弟と口付ける。
それは二人で同じ布団に入って眠るようになってから
いつものことだった。
最初はくすぐったいと笑っていた幼い弟も
今ではもう慣れたものでくすくす笑いながらも
直哉と口付けをするのが大好きになったようだ。
これは布団の中だけ、夜寝る時だけ、ひとのまえでは
絶対にしない。そう云い聞かせて(この聞き分けの良い
賢い弟は決して他人にも両親にも直哉との多くの秘密は
洩らさなかった。そうすればこうして目一杯可愛がって
貰えるのを知っているからだ。)
先程から飽くことなくフレンチキスを繰り返している。
小学4年生にあがったばかりだ。
キスの合間に漏れる幼い吐息にどうしようもない衝動を
感じる。
直哉は( まだだ )と理性に云い聞かせて、それでも
ふと湧いた悪戯心に身を任せてみた。
小さな弟の口の中に己の舌を忍ばせる。
ぬるん、とした唾液が絡まる感じが酷く卑猥だった。
驚いた弟は直哉を見るが直哉が小さく「大丈夫」と云えば
うん、と素直に頷いた。
そのまま大人しく身を任せる弟に
直哉は行為を続行する。
「舌を絡めてごらん、舌と舌をくっつけるんだ」
優しく云えば弟は小さな唇をおずおずと開いて
ちろちろと可愛い舌を出す。
それを優しく絡めれば吐息が漏れた。
息継ぎが上手くできないのか徐々に激しくなるキスに
苦しそうに顔を歪める。
んー、と眼尻に涙さえ見せ始めたので流石に其処で止めた。
口端から伝う唾液を舌で掬ってから弟の眼尻の涙を吸ってやる。
「直哉、これなに?」
初めての行為に弟は少しの混乱がある。
直哉は優しく丁寧に弟の背をさすってやり、
「大きくなったらすることだ」と説明した。
「ぼく大きくなった?」
「少しね」
「少しじゃなくて全部大きくなったら他にすることがあるの?」
「そうだね、俺はきっとお前にしてしまうよ」
弟はその大きな青い眼をきょとん、とさせてから
可愛らしく首を傾げる。
「直哉がするなら屹度いいよ」
許してあげる、と微笑む弟の言葉が
どうしようもなく胸に響いた。


秘密
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